個人再生:ICO,FX投資詐欺被害に遭い、借入金が返済できずに個人再生を申し立てた事例

依頼者の属性

性別 男性
職業 会社員
負債総額 約2650万円(住宅ローン債権含む)

依頼に至る経緯

ご依頼者様は、一時期テレビで盛んに放送されていた老後2000万円問題を目にして退職後の生活に不安を抱えるようになり、SNSで知り合った投資家と名乗る人物にICO投資,FX投資を勧められ、消費者金融から合計約656万円を借り入れて全額その人物に渡しました。しかし、以後その人物と連絡が取れなくなり、詐欺に遭ったと気がつきました。警察に被害届を提出しましたが、振り込んだお金は戻らないと言われ、ご依頼者様には多額の借金だけが残ることとなりました。

解決結果

ご依頼者様は、住宅を所有されていたことと、安定的な収入があり年2回賞与も支給されていたことから、借金の総額が減額できれば毎月の返済は可能であると判断し、住宅資金特別条項付き小規模個人再生での申立を行いました。

ご依頼者様が勤める会社では、数年前から退職金として確定拠出年金制度を採用しており、確定拠出年金に資産移行された分については清算価値としての退職金に該当しないため、その部分については清算価値に計上することなく申立が出来ました。結果、債権者からの異議もなく無事に再生手続は認められ、負債額も約256万円と当初の4分の1程度になり、毎月の返済額を大幅に減らすことができました。

ポイント解説

ご依頼者様は、単身赴任中であり、所有している住宅の所在地は県外で、二世帯住宅でした。個人再生手続で、住宅資金特別条項の適用を受けるためには、再生債務者自身が所有している建物であるということの他に、
①住居の用に供する建物であって、②専ら自己の居住の用に供される部分が床面積の2分の1以上に相当することが必要になります。

①についてですが、ご依頼者様のように、債務者自身は単身赴任をしているが、家族は「住宅」に居住している場合や、債務者が転勤のため「住宅」には現在のところ誰も居住していないが、転勤終了後には「住宅」に戻ってきて、自己の居住の用に供するであろうことが客観的に明らかである場合には、住宅資金特別条項の適用対象となります。

②についてですが、今回のご依頼者様のように所有している住宅が二世帯住宅という方もいらっしゃると思います。 二世帯住宅の場合、債務者の居住部分が床面積の2分の1以上であれば、それぞれの世帯の住居部分が物理的に独立しており、かつ、生活の実態としてもそれぞれ世帯が別々に暮らしているような場合であれば、住宅資金特別条項の適用を受けることが出来ます。また、住宅兼店舗など、建物の一部を事業用に利用している場合であっても、建物の床面積の2分の1以上を専ら自己の居住用に利用していることが明らかであれば、この特則の適用を受けることが出来ます。

サラリーマンの実情として、単身赴任や転勤は避けられないことがあります。さまざまな事情があり、住宅を残せるかどうか不安な方は、一度弁護士にご相談ください。

次に、勤めている会社によっては、退職金の代わりに、確定拠出年金制度を採用しているところもあると思います。一見すると退職金と同じに見えますが、確定拠出年金は確定拠出年金法第32条1項により差押禁止財産とされています。差押禁止財産は、個人再生においても清算価値として計上しなくてもいいことになっており、これにより債務者の返済の負担が減ることがあります。

個人再生を考えているが、自身の退職金や確定拠出年金について不安がある場合も、是非弁護士にご相談ください。

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