個人再生:コロナ禍で売上が減少した個人事業主(美容院)が個人再生を申し立てた事例
依頼者の属性
40代 男性 自営業(美容院) 負債総額 約2100万円(住宅ローン債権含む)
依頼に至る経緯
ご依頼者様は、自宅兼店舗で美容院を経営している個人事業者で、コロナ禍で休業や時短営業を余儀なくされたことにより売上が激減しました。現在はコロナ禍前の売上に戻りつつありますが、それまでの借金返済、住宅ローン返済やコロナ融資で返済猶予をされていた返済が始まるため、このままでは到底返済が出来ないと思い、当事務所に相談、依頼されました。
解決結果
ご依頼者様は、住宅兼店舗にて美容院を経営されているため、住宅兼店舗を残す必要がありました。コロナ禍により収入は激減しましたが、当事務所にご依頼される頃には売上も戻りつつあり、空き時間を利用して副業もされていたため、借金の総額が減額できれば毎月の返済は可能であると判断し、住宅資金特別条項付き小規模個人再生での申立を行いました。
個人事業者が個人再生手続きを利用する場合、申立前6ヶ月の事業に関する収支報告書を出す必要があるため、ご依頼者様の協力のもと当該報告書を作成し提出しました。また、自宅兼店舗にて営業をしていたため、住宅資金特別条項の適用対象となる「住宅」に該当するかが問題となりました。そこで、建物の間取り図や各階平面図を提出するなどして、ご依頼者様の住居部分が床面積の2分の1以上であり、「住宅」に該当することを説明しました。これらの書類提出等の結果、債権者からの異議もなく無事に再生手続は認められ、負債額も約258万円と当初の4分の1程度になり、毎月の返済額を大幅に減らすことができました。
ポイント解説
ご依頼者様は、店舗兼居宅にて美容院を経営している個人事業者でした。個人再生手続で、住宅資金特別条項の適用を受けるためには、再生債務者自身が所有している建物であるということの他に、①自己の居住の用に供する建物であって、②専ら自己の居住の用に供される部分が床面積の2分の1以上に相当することが必要になります。
今回のご依頼者様のように所有している住宅が店舗兼住居という方もいらっしゃると思います。店舗兼居宅の場合、債務者の居住部分が床面積の2分の1以上であれば、「住宅」に該当し、住宅資金特別条項の適用を受けることが出来ます。具体的には、建物の間取り図や各階平面図などで再生債務者の居住部分が床面積の2分の1以上あることを疎明できれば足ります。
次に、小規模個人再生の利用には、債務者が「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」ことが必要になります。個人事業者の場合、毎月の収入に変動があることがほとんどであると思いますが、過去の事業収支の実績から3か月に1回の弁済原資を確保することが出来る程度の収入実績があれば再生計画の見通しが立ちますので、個人事業者でも小規模個人再生の利用が可能となります。
個人事業者や店舗兼住居で経営されている方で、個人再生を考えているが制度の利用について不安がある場合も、是非弁護士にご相談ください。
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