法人破産を申し立てた代表者が、自身は破産でなく個人再生を選択した事例
依頼者属性
50代 男性 会社員 負債総額 約1300万円(住宅ローン債権含む)
依頼に至る経緯
ご依頼者様は、アパレル業を営む法人の代表者でした。コロナ禍により法人の売上が激減したため、社会保険料の猶予申請や、政府の補助金や公庫からの借入を従業員の給料や売上補填に充てるなどしてやり繰りをしていました。しかし、社会保険料の納付猶予期間が終了したことで通常の約2倍の保険料を納めなければならなくなり、最終的には年金事務所に売掛金を差し押さえられたことで完全に収入が途絶え、法人は破産に至り、法人代表者であったご依頼者様も多額の借金を抱えることになりました。
解決結果
ご依頼者様個人の債務状況や財産状況を精査した結果、債務は住宅ローン以外には法人が借り入れた運転資金の保証債権(約235万)とごく少額のクレジット債権ほどしかありませんでした。また、ご依頼者様名義のご自宅を所有されており、ご依頼者様は引き続きご自宅に居住することを希望されていました。このような状況で、上手く債務を圧縮出来れば個人再生手続きを経た上での返済は可能であると判断できたため、自己破産ではなく個人再生手続きを申し立てました。
ポイント解説
法人が破産を申し立てた場合、法人の代表者に住宅ローンが残っており住宅を手元に残したいという意向がある場合は、代表者は、破産でなく個人再生手続きを選択することも可能です。
しかし、いくつか注意しなければならない点があります。
- 負債額が大きくなる可能性がある。
代表者は会社債務の連帯保証人になっている場合が多く、また会社存続のために個人でも借入をして運転資金に回している場合もあるため、負債額が多額である場合が多いです。個人再生を利用するには、住宅ローンを除いた債務が5000万円以下でなければならないという条件があります。
- 安定した収入を確保しなければならない。
個人再生手続きを利用するためには「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」ことが条件です。法人が破産手続きをする場合、代表者はこれまで受け取っていた役員報酬などの収入がなくなります。個人再生手続きの条件である、継続的に収入を得ているという要件を満たすためにも、就職活動をして新たな仕事を探す必要があります。
- 個人再生委員が選任される可能性がある
通常は個人再生委員を選任しない運用となっている裁判所であっても、例外的に個人再生委員が選任される可能性が出てきます。これは、一般的なサラリーマンの個人再生手続きと比べて、法人代表者は資産や負債額が多くなりがちであり、将来的に継続的に収入を得る見込みがあっても、実際にその返済を継続できるかどうかという問題が生じるからです。そのため、事案によっては個人再生委員が選任される場合が出てきます。個人再生委員が選任されると、別途、裁判所に予納金を納める必要がでてきます。
今回のように、法人代表者であっても個人再生手続きを利用してご自宅を残せる場合があります。しかし、様々な条件をクリアしなければならなず、手続き選択には極めて専門的な知識が必要となります。当事務所では、状況が煩雑で選択すべき適切な手続きが分からないという方に対し、弁護士の豊富な経験に基づく適切なアドバイスをさせていただきます。

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