飲食店を経営していた個人事業主が破産した事例

依頼者属性

50代 男性 個人事業主 負債総額 約2400万円

依頼に至る経緯

ご依頼者様は飲食店を経営しておられましたが、コロナ禍により売上が激減しました。コロナ融資や協力金などの支給を受けながら何とかやり過ごしていましたが、その後も売上が戻らず、原材料費や人件費の高騰が経営の苦境に追い打ちをかけ、破産を決意されました。

解決結果

ご依頼者様が経営していた店舗では、従業員としてアルバイトを複数名雇っておられましたが、従業員を即日解雇する形を取ったことから、解雇予告手当と未払給料を支払う必要がありました。しかし、ご依頼者様にはまとまった財産がなかったため、破産申立を行った後で、管財人において未払賃金の立替払い制度を利用し、従業員の対応をすることになりました。また、ご依頼者様が経営していた店舗は賃貸物件であったため貸主に明け渡さなければならず、当事務所において業者を紹介し、明渡しをした上で、管財事件として破産申立を行いました。

ポイント解説

破産を検討されている経営者の中には、従業員に対する未払給料があることも多いと思います。また、破産の直前まで従業員を雇用されているケースでは、従業員に対する解雇予告手当の支払も残されることになります。

ここで、破産手続開始前3ヶ月間の未払いの給料は、財団債権という債権となりますので、従業員は、破産手続によらないで随時弁済を受けられることが認められています。つまり、未払給料は、最も優先して支払いを受けられる債権の一つということです。

しかし、経営者が支払不能状態にある場合、これをすぐに支払うことが難しいのが実情でしょう。そのような場合は、労働者健康安全機構の未払賃金の立替払制度を利用することが可能です。これは、退職日より6ヶ月前の日から支払い期限が来ている未払給料について、破産手続開始決定日から2年以内であれば、従業員が同機構より、8割程度の支給を受けられる制度です。もっとも、解雇予告手当については、立替払制度の対象外であり、破産者の資産に余裕がある場合を除き、破産手続きにおいて管財人により処理されることになります。

破産を検討されている方で、従業員の未払給料がある場合は、従業員のためにも早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。

次に、破産管財手続きにおいて、管財人への引継予納金が十分に確保できない場合は、賃借物件の明渡し等を申立人が行わなければなりません。もっとも、賃借物件内に大量の在庫商品や什器備品、機械等が残っており、管財人が売却することが相当である場合など特別な事情がある事案では、それら作業の費用を考慮して引継予納金が定められることがありますので、弁護士にご相談される際には、賃借物件内の撮影した写真等を持参されると、今後の見通しも立てやすくなるかも知れません。

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