自己破産:借金返済が不能となった後に受領し使用した退職金の取り扱いが問題となったが、使途の説明、残金の破産財団組入れにより、無事免責が得られた事例(60代 男性 会社員)
依頼者の属性
性別 男性
職業 会社員(退職後再雇用)
負債総額 約5000万円
依頼に至る経緯
ご依頼者様は、多額の借金を抱え住宅ローンの返済もできなくなったため、住宅ローン債権者により自宅を競売にかけられました。しかし、競売で自宅を売っても住宅ローンを完済できず、今度は、住宅ローンの保証会社から、残債務の返済を求めて裁判を起こされてしまいました。ご依頼者様は対応に困り、専門家の法律相談を受けられ、そこで破産することを勧められましたが、ご依頼者様は、勤務していた会社から退職時にまとまった金額の退職金を受領出来る見込みがあったため、破産の条件として、現在退職したと仮定した場合に受け取れる退職金の8分の1の金額を裁判所に納めなければなりませんでした(破産財団に組み入れるということです)。当時、ご依頼者様はこのお金を用意することができず破産するには至りませんでした。
このような理由により破産手続きを取らなかったため、その後、債権者数社から借金返済を求めて裁判を起こされることになり、これに対し、ご依頼者様は、訴えられた債権者に対してのみ少額ずつ返済するといった対応を続けていました。しかし、数年後には、裁判所から債権執行通知が届いたため、ご依頼者様は、給料が差し押さえられると生活ができなくなると考え、当事務所のご相談を受け、ご依頼されました。
解決結果
ご依頼者様は、自宅を競売にかけられた2年後に会社を退職して退職金を受領されており、その後当事務所に相談に来られる2年半ほどの間に、受け取った退職金のおよそ半分を借金返済や生活費等に費消していました。そのため、費消した分の使途を明らかにし、残った退職金を破産財団に組み入れる内容で破産申立を行い、無事に免責決定を得ることが出来ました。
ポイント解説
借金を抱えている方が将来勤務先から退職金を受け取れる決まりがあれば、破産するにあたっては、現在退職すると仮定した場合に受け取れる退職金の一部が、現在保有している財産とみなされることになります。すなわち、破産申立をする時点で計算した退職金額の8分の1の金額を保有財産とみなされ、その金額を破産財団に組入れることが必要となります。
しかし、退職した後ですと、退職金全額が保有財産とみなされる可能性が高くなるため、今回のように、既に受領して使ってしまった金額の使途を明らかにしたり、残っている退職金を全額破産財団に組み入れたりしなければなりません。また、使った退職金の中に不適切な使途があれば、その分も追加で破産財団に組み入れるよう裁判所から求められる可能性もあります。
このように、対応を誤れば最終的に破産者のご負担が増えることになりますので、借金返済に困っているが、将来退職金が支払われる見込みがある方は、退職金の問題も踏まえて検討する必要がありますので、一度弁護士にご相談下さい。
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