アパレル業(衣料品及び雑貨の販売)を営む法人が破産した事例

依頼者の属性

負債総額 約4000万円

依頼に至る経緯

X社は、コロナ禍までは売上が順調に推移していましたが、コロナ禍により売上が約半減しました。そのため、社会保険料の猶予申請や、政府の補助金や公庫からの借入を従業員の給料や売上補填に充てるなどしていました。しかし、社会保険料の納付猶予期間が終了したことで通常の約2倍の保険料を納めなければならなくなり、次第に滞るようになりました。最終的には年金事務所に売掛金を差し押さえられたことで完全に収入が途絶え、破産に至りました。

解決結果

X社は、従業員が多数在籍しており、未払給料も発生していました。しかし、代表者が当事務所に相談に来られる前に、労働基準監督署長の確認を得て、未払賃金の立替払制度を利用していました。そのため、元従業員の方々は通常の法人破産より比較的早い段階で立替払いを受けることが出来ました。

ポイント解説

「未払賃金立替払制度」は、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて、未払賃金の一部を独立行政法人労働者健康安全機構が事業主に代わって立替払する制度です。

未払賃金立替払制度の対象となる賃金は、①定期賃金(毎月決まって支払われている賃金)②退職金の2種類となっており、ボーナスや結婚祝い金などの臨時に支給される金銭は対象とはなりません。また、未払い分が全額支払われるわけではなく、「退職日の6か月前から立替払の請求日の前日まで」に支払われるはずだった賃金に限られ、実際に支払われる額は、未払い総額の8割です。ただし、未払い総額には退職時の年齢別に上限額が設定されています。また、未払賃金立替制度を受給するにも条件があり、①法律上、もしくは事実上会社が倒産したこと、②会社に労働者として雇用されていたこと、③退職日が倒産の日の6か月前から2年後の間であること、がそれになります。またこれらの条件については、細かな要件等があるため、賃金が未払状態になり、法人破産を検討されているのであれば、従業員の為にも出来るだけ早急に破産手続きを進めるか、労働基準監督署に相談することをおすすめします。

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