破産:コロナ融資終了後の個人事業主の破産の事例

依頼者の属性

40代 男性 建設業自営 負債総額 約700万円

依頼に至る経緯

ご依頼者様は、代々建設業を営んでおられましたが、コロナ禍の影響で受注が減少し、売上が低迷したため、銀行からコロナ融資(ゼロゼロ融資)を受けました。その後、コロナ禍が落ち着きましたが思うように売上が回復せず、このままの経営状況では、返済していくことが難しいと考え、当事務所に相談、依頼されました。

解決結果

破産手続きは、破産者の経済生活の再生も目的の一つとしているため全ての財産が没収されるわけではなく、手元に一定の財産(自由財産)を残すことも認められています。
今回、ご依頼者様の財産として主なものは、生命保険と事業で使っていた不動産でした。まず、生命保険の解約返戻金が高額であったため、他の財産と合計すると手元に残せる財産(自由財産)の上限99万円を超えていました。その場合、破産管財人に保険は解約されてしまい解約返戻金も全て管財人(破産財団)に渡すことになります。しかし、ご依頼者様には持病があり、この保険の解約は避けたかったため、そのことを管財人に説明し、開始決定日時点の解約返戻金を基準に自由財産(99万円)を超過している金額分を破産財団に納めることで、保険の解約は免れました。また、今回、破産原因として免責不許可事由であるギャンブルも上がっていましたが、真摯に反省していることを直筆の反省文として提出し、無事に免責となりました。

ポイント解説

個人事業主が自己破産する場合、破産管財人が選任される管財事件として扱われます。管財事件では、申立時の弁護士費用の他に破産管財人に納める費用として、最低20万円程度の現金が必要となります。債権者が多い、明け渡し魅了の不動産がある等複雑になれば管財人に納める金額は上がることになります。また、上の解決結果でもご説明しました通り、今回のケースでは、ご依頼者様の全財産を現金化したと仮定すると、手元に残せる自由財産(99万円)の上限を超えていたことから、生命保険を手元に残す代わりに、99万を超過する分の現金を追加で管財人に納めることになりました。手元に残すことが可能な財産なのか、その場合追加の現金を管財人に納める必要があるのか等は、個別具体的に見て判断することが必要なため、まとまった金額の解約返戻金がある保険があるなどの事情があり、自由財産としてどこまで手元に残せるのかなどについて疑問をお持ちの方は、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

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