公務員が債務整理をする場合の注意点とは?

公務員の方が借金の返済に困り、債務整理を考える方も多いと思います。 公務員の方が自己破産や個人再生をしても、公務員という職を失うことはありません。 しかし、公務員の方が債務整理をする際には、いくつか注意点があります。

注意①:公務員共済組合からの借入

借金を抱えている人なら、ほとんどの方が、職場の人に借金があることや債務整理をすることを内緒にしたいと思うでしょう。 公務員の方の中には、比較的金利の低い公務員共済組合から借金をしている人も多いと思いますが、共済組合から借金をしている場合、債務整理の受任通知を送付すると、共済組合を通じて職場に知られる可能性が高いです。 職場に知られたからと言って解雇されることはありませんが、人間関係によっては職場に居づらくなる方もいるかもしれません。そのため、共済組合からの借入については注意が必要です。 そこで、公務員の方が職場に知られることなく債務整理をする方法として、手続の対象とする債権者を選択できる「任意整理」があります。 任意整理であれば、共済組合からの借金についてはこれまでどおり返済を続け、それ以外の借金について、将来利息や遅延損害金のカットを求めて交渉することで月々の返済額を減らすことができます。 また、任意整理は裁判所の手続を通さないで債権者と交渉することが出来るため、職場に知られずに手続を進めることも可能です。 公務員は、給料やボーナスが民間企業に比べて安定しているため、債権者は長期の分割返済に応じてくれる可能性も高い傾向にありますが、逆に、支払能力があると認識され和解条件が厳しくなったり、和解の際にボーナス払いを要求されることもあります。 もし、共済組合から借金があっても個人再生手続をする場合、共済組合は再生計画案に反対するケースが多いと言われています。 共済組合からの借入金額が債務総額の2分の1以上ある場合は、給与所得者等個人再生手続を選択する必要があります。

注意②:自己破産や個人再生における退職金の取扱い

公務員の方でも、自己破産や個人再生の手続きを取ることが可能です。 しかし、これらの手続は、全ての債権者を対象にしなければならないため、共済組合からの借入も手続に加えなければならず、職場に知られる可能性はあります。 次に、公務員の方が自己破産や個人再生をする際には、現時点で退職した場合の退職金見込額を出さなければなりません。退職金も資産として扱われますが、現時点で定年まで勤めるかは不明ですし、懲戒免職などで退職金が支払われない場合もあるため、現時点での退職金の8分の1を資産として計上するのが原則となっています。 自己破産手続においては、債権者への配当のために、退職金の8分の1相当額を管財人に支払う必要が出てきます。 また、個人再生の場合は、清算価値保証原則により、退職金の8分の1相当額を清算価値に加算しなければなりません。 場合によっては、清算価値で最低弁済額を決める場合、実際の返済額が増えるため、負担が重くなる場合があります。 退職金見込額は、勤務期間が長ければ金額も高くなります。 そのため、選択する手続によっては、負担が重くなる場合があるため注意が必要です。

最後に…

公務員の方でも借金することはあるでしょう。 また、公務員は、安定した収入が得られる職業として認知されているため、銀行や消費者金融などでの借入審査が通りやすく、借入限度額も高額に設定できたりするため、借金が多額になりやすい傾向にあります。 公務員であっても借金返済に困ったら、債務整理をすることは可能です。 しかし、債務状況によっては任意整理では解決できない場合や、退職金見込額によっては負担が重くなる場合もあります。 公務員という特殊な事情を考慮し、収入や債務総額や返済額などを総合的に判断し、借金問題解決に向けて最適な方法をご提案致しますので、まずは弁護士にご相談ください。

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