借金問題で司法書士にはできないこと

司法書士には、裁判所に提出する書類(自己破産申立書、個人再生申立書)の作成と、これらの書類作成のための相談業務が認められています。また、認定司法書士と言われる司法書士には、これらの業務に加えて経済的利益が140万円を超えない事件の代理人として和解交渉する権限、簡裁事件(請求額が140万円までの簡裁裁判所で取り扱われる事件)について訴訟代理人をする権限、及びそれらの相談業務が認められています。

このようなことから、司法書士事務所においても、自己破産、個人再生や任意整理、過払金返還請求の相談や依頼を受け付けているところが多くあります。

しかしながら、認定司法書士であっても、以下の通り、その権限には大きな制約があります。

・裁判所に自己破産や個人再生を申し立てる代理権はない。

・任意整理について、借金額が140万円を超える事件の代理権(交渉)は認められていない。

・過払金返還請求について、請求額が140万円を超える事件の代理権(交渉、裁判)は認められていない。

・請求額が140万円を超える事件の相談を受けることも認められていない。

◆下記に当てはまる方は弁護士への依頼をお勧めします。

任意整理・過払金返還請求をお考えの方

弁護士に依頼するメリット

弁護士が交渉や裁判を提起する場合、扱える金額(借金額、過払金返還請求金額)に上限はありません。

  • 弁護士は司法書士と違って、扱う金額がいくらであっても代理人として示談交渉ができます。
  • 裁判の代理権にも制限はなく、請求額によっては地方裁判所に訴訟を提起することができます。

過払金返還請求についてみると、貸金業者にとっては、簡易裁判所ではなく、地方裁判所に起こされた訴訟に応じなければならない負担は大きいものです。したがって、弁護士から過払金返還請求された場合に示談ができないと、後に弁護士から地方裁判所に訴訟を提起されるリスクを抱えることになり、このことは貸金業者にとって大きなプレッシャーとなります。そこで、弁護士はこのことを逆手にとり、裁判をせずとも、貸金業者と有利な条件で和解することが可能となるのです。

司法書士に依頼するデメリット

認定司法書士が任意整理、過払金返還請求する場合、扱える金額(借金額、過払金返還請求金額)は140万円以下に限られます。

  • 示談交渉、裁判とも、140万円を超える事件は扱えません。
  • 140万円までの交渉や裁判(ただし簡易裁判所に限られる)ができる司法書士は、所定の研修を終了し簡裁訴訟代理能力認定考査に合格した司法書士(認定司法書士)に限られます。

司法書士は140万円を超える事件を扱うことができないため、弁護士と違い、地方裁判所に訴訟を提起することができません。このことは、司法書士が最終的に地方裁判所に訴訟を提起するというカードを切ることができないため、貸金業者は、司法書士を相手に交渉する場合、地方裁判所での裁判にはならないことを踏まえて、返金金額を低く提示できるのです。つまり、司法書士の場合、貸金業者に地方裁判所に訴訟を提起することを意識させて交渉を有利に運ぶことができず、結果として良い条件を引き出すことが難しくなることがあるのです。

また、過払金返還請求について、裁判手続きを司法書士に依頼しようと考えても、請求額が140万円を超える場合、司法書士は裁判所に提出する書類を作成することしかできず、裁判手続き自体は当事者本人が行わなければなりません。この場合、ご自身が裁判所から指定された平日の昼間に地方裁判所に出かけ、裁判官から、訴状に記載した内容や貸金業者が提出した答弁書に対する反論の内容、今後の訴訟の進行方針について質問されたり、貸金業者代理人弁護士から厳しく追求されることになります。地方裁判所における裁判手続きは専門的ですので、素人の方が自分で手続きを進めるのは極めて難しい作業となり、実際、法廷において、当事者が困惑・立ち往生しているケースがよくみられます。

この点、消費者金融会社やクレジットカード会社との取引が10年以上続いて完済している方は、過払金の請求額が140万円を超えている可能性が十分ありますので、上記のように、司法書士に依頼するのは残念といえるでしょう。

自己破産申立、個人再生申立をお考えの方

弁護士に依頼するメリット

  • 裁判所への自己破産申立、個人再生申立について、事件終了まで、弁護士が代理人として当事者の代わりに活動します。
  • 少額管財事件の制度が利用でき、裁判所に納める予納金を抑えることができます。

自己破産申立、個人再生申立事件の手続き全般について、弁護士が代理人として裁判所等関係者とのやりとりを行います。このやりとりにおいては、裁判所から法律的な知識・見解が問われることもあるため、法律の知識や理解が十分でなければ不利益な結果になることがあります。この点において、法律問題の解決を専門とする弁護士に依頼しないことはお勧めできません。

また、現在、多くの地方裁判所における自己破産申立事件では、弁護士が代理人となった場合に限り、管財予納金を20万円程度で行う少額管財事件の制度が用意されています。これに対し、司法書士に自己破産の書類作成を依頼し、弁護士を付けずに裁判所に自己破産申立をする場合、当事者が裁判所に納めなければならない予納金額が弁護士に依頼する場合より高額になる裁判所もあります。このような事情もあり、自己破産申立のほとんどが弁護士代理によってなされております。

その他にも、手続きに必要となる費用は、弁護士でも司法書士でもほとんど変わりません。時には、書類作成の他に債権者への通知、申立手続、出廷、裁判所との交渉をする弁護士費用より、司法書士の書類作成費用の方が高いことさえあります。

司法書士に依頼するデメリット

  • 裁判所への自己破産申立、個人再生申立について、書類作成しかできず、代理人として当事者に代わって活動できません。
  • 少額管財事件の制度が利用できず、裁判所に納める予納金が高額になることがあります。

司法書士の場合、自己破産申立、個人再生申立とも、書類の作成する権限しかないため、申立時や申立後に、裁判所等関係者とのやりとりが必要となる場合、すべて自身で行わなければなりません。このやりとりが十分に行えない場合、不利益な結果となることもありえます。

また、司法書士の中には、自己破産の申立権がないこともあり、相談者に自己破産しないで任意整理を勧めているケースも見られます。しかし、自己破産は、任意整理と比べて、借金の全額を免除できる点で債務者の経済的再生に極めて強力な手段であり、各制度を充分に理解せずに最初から自己破産を選択肢から除外するのは、経済的再生を妨げる可能性があり、アドバイスとして適切ではありません。

本来、すべての手続の長所・短所を理解した上でそれぞれを比較し、最も合理的な手続を選択すべきであり、そのためにも任意整理、過払金返還請求の各交渉、訴訟、自己破産申立、個人再生申立の各手続きに代理権を有している弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

お気軽にご相談ください TEL:079-456-8220 受付時間 平日9:00~19:00 相談時間 平日10:00~19:00 土日祝及び夜間は応相談

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